RSウイルス感染症の定期接種化って?~お母さんに注射して、おなかの中の赤ちゃんを守ります~|番町麹町こどもクリニック|四ツ谷・麹町の小児科・内科・アレルギー科

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RSウイルス感染症の定期接種化って?~お母さんに注射して、おなかの中の赤ちゃんを守ります~

RSウイルス感染症の定期接種化って?~お母さんに注射して、おなかの中の赤ちゃんを守ります~|番町麹町こどもクリニック|四ツ谷・麹町の小児科・内科・アレルギー科

こんにちは。番町麹町こどもクリニックです。

4月から新たなワクチンが新規に定期接種化されます。RSウイルス感染症に対するワクチンです。RSウイルスについて「はじめて聞いた」というママやパパは少ないでしょう。それどころかノロウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス・・保護者の方からごく普通にでてくる単語にびっくりさせられます。みなさん病気のこと、ワクチンのこと、アレルギーのことよくご存知です(笑)私は正直医学以外のことには疎いので、他職種の業界用語(特にIT業界)にはいつもはてながいっぱいです。先日もこどもの学校の1分スピーチを参観しましたが、こうも言葉が分からないものかと思ってしまいました。みな自由に思いのまま話すスピーチでしたので、知らない単語が飛び交っており、「ロブローてなに?」「滅ってどういうこと?」「もさろうってだいたいわかるけどこれでいいの?」とこどもにいちいち聞いてしまいました。いまはインターネットやSNSがあるので、分からない事は検索すればだいたい分かります。でもそれが正しい情報かどうかはわかりません。こどもたちが自ら生み出した造語ですので、この場合はこどもたちが識者となり、こどもたちに聞くのが一番正しい情報と言えるでしょう。では医学の場合はどうでしょう。検索すればたいていはAIによる概要が一番はじめに出てきます。しかしそれはいくつかのオンライン上の発信源をまとめたものにすぎません。その発信源が医師監修の記事だったり、クリニックのHPだったりすればやはり信用できると思ってしまいがちですが、医師だって考え方はそれぞれです。医師も医学的知識を持ったヒトにすぎないので、それぞれの状況や立場、経験から考え方は異なります。だからといってそんなバラバラな意見に合わせられたら患者さんはたまったもんじゃありませんので、そんな医師へ共通の方向性を示す、ガイドラインというものが存在します。また各専門学会の提唱、推奨、公式意見(ステートメント)として発信しているものもあります。私は医療情報を発信するひとりとしてこれらの情報に準拠しています。保護者の方々の熱心に勉強されている様子には本当に感服します。ガイドラインや学会からの提唱はインターネットから一般のかたでも閲覧できますので、検索する際にご参考にしてみてはいかがでしょうか?

本題に戻ります。4月から定期接種となるRSワクチン(アブリスボ)は、お母さんが接種し、お母さんの身体の中でRSウイルスに対する抗体をつくり、その抗体が胎盤を通しておなかのなかの赤ちゃんにも移行する、そしてそのRSウイルスに対する抗体をもって出生し、およそ半年間抗体を持っている状態を赤ちゃんは維持できる。ということを目的としたワクチンです。つまり接種するのは妊婦さんだけど守るのは生まれてくる赤ちゃんというわけです。このような目的のワクチンを母子免疫ワクチンといいます。なぜこんな面倒なことをするのか、赤ちゃんに打った方が効果的ではないのか?と思う方も多いかと思います。その通りです。実際に出生後赤ちゃんに接種する抗体製剤※もあります。しかしこの抗体製剤、早産や基礎疾患がある場合は保険適応なのですが、それ以外の場合は保険適応外なのです。つまり自費診療となります。そしてなんとお値段1回90万。目が点となるようなお値段です。さすがにこの額を支払うなら、お母さんが接種する母子免疫ワクチンのほうを選択するのが一般的でしょう。費用の問題だけでなく、効果や安全性ではどうかというと、安全性および有効性の面でも両者そう変わりはありませんでした。では費用対効果はどうかという検討もされましたが、やはり値段が違いすぎるため統一的な結論を導くことはできませんでした。諸外国においても見解はさまざまで、妊婦へのワクチン接種を実施している国もあれば乳幼児への抗体製剤投与を実施している国もあります。米国では同じ抗体製剤がもっと良心的なお値段で販売されていますので、今後日本でも安くなる可能性や助成適応になる可能性もありますが、現時点で日本はようやく母子免疫ワクチンが定期接種化されたばかりです。今後どのようになっていくのか注目です。※抗体製剤:特定の病原菌の対する有効な抗体を直接体内に注入することで人工的に免疫の機能を獲得するもの。接種することで体内で抗体を産生するワクチンとは異なるものと解釈しています。

When?(いつ?)妊娠28週0日から36週6日までの間 注意:接種後14日以内に出生した乳児における有効性は確立していないことから、接種してから14日はあけてください。つまり無痛分娩など誘発により妊娠38週6日までに出産を予定している場合は早めに接種する必要があります。

Where?(どこで?)定期接種は登録された指定医療機関で実施します。出産予定または妊婦健診を行っている施設で必ずしも定期接種を受けられるわけではありませんのでご注意ください。里帰り出産を予定していて、里帰り先で接種を希望する場合は事前に手続きが必要です

Who?(誰が?)主治医に接種の許可を得ている妊婦さん。妊娠高血圧症候群の発症リスクが高いと医師に判断された方や、今までに妊娠高血圧症候群と診断された方は接種に注意が必要です。必ず主治医と相談してください。ただし、ワクチンにより妊娠高血圧症候群発症のリスクが高くなるというわけではありません。

How?(どのように?)筋肉注射1回 迷走神経反射を防ぐため、接種後はしばらくは座ってやすんでいただくことを推奨します。

Effectiveness(有効性):製造販売承認上妊娠24週から36週で接種可能となっていますが、妊娠28週0日から36週6日までの間に接種するとより高い効果が得られることが分かっています。臨床試験では妊娠24週から36週の妊婦を対象として、出生した赤ちゃん(生後0日から90日)の6割の罹患予防効果があったと報告がされています。(重症化予防はさらに高く8割)季節性インフルエンザワクチンの同時接種しても、それぞれ影響は受けないこと、一方でTdap(海外で使用されている百日咳含有ワクチン)との同時接種では抗体が付きにくい可能性があるとの報告もあります。ただし日本では、Tdapは承認されておらず、一般的な百日咳含有ワクチンはDPTです。DPTとの影響についての報告はいまのところありません。

Safty(安全性):主な副反応に接種部位の疼痛、筋肉痛、頭痛などがあります。早産のリスク、妊娠高血圧症候群のリスクがワクチンによって高まることが証明された報告はなく、現時点でワクチンとの関連性は明らかになっていません。

 

結論

4月よりRSウイルス感染症に対する母子免疫ワクチンが定期接種となります。妊娠28週0日から36週6日までの間にお母さんが接種することで、生まれてきた赤ちゃんをRSウイルス感染症から守ることができます。該当の週数になりましたら早めに接種することを勧めます。

 

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