アトピー性皮膚に注射のすゝめ ~「かいちゃダメ」より「かゆくない」へ~|番町麹町こどもクリニック|四ツ谷・麹町の小児科・内科・アレルギー科

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アトピー性皮膚に注射のすゝめ ~「かいちゃダメ」より「かゆくない」へ~

アトピー性皮膚に注射のすゝめ ~「かいちゃダメ」より「かゆくない」へ~|番町麹町こどもクリニック|四ツ谷・麹町の小児科・内科・アレルギー科

こんにちは。番町麹町こどもクリニックです。

🎵かきねの かきねの まがりかど~ この歌の題名は?と聞かれて答えられますか?そうです、答えは『たきび』です。残念ながら聞く機会が減りましたが、私にとっては冬の到来を感じるわくわくする歌です。でもこの歌の2番🎵しもやけ おててが もうかゆい のフレーズに、ちょっと違和感を覚えたことありませんか?だって1番の🎵きたかぜ ぴぃぷう ふいている は、まあなんとか繋がりありそうですが、なぜ2番はしもやけ 😯 たきびと関係ある?しかもしもやけってかゆいの?って小さいころ思いました。寒かったおててをたきびの火で急に温めたせいでかゆみが強くなったのだろうと今でこそ予測が付きますが、しもやけ→たきび→温まる→かゆみUPの連想ゲームはなかなか難しいと思います。昔は「たきびにあたれば暖かいがしもやけはかゆくなる」という共通認識だったのでしょうか。「ふぐは食いたし命は惜しい」のように。童謡の歌詞を読み解くとその当時の時代背景まで見えてくる、なんとも奥深いものです。童謡の歌詞は、季節感にあふれていて、さらに日本の伝統まで垣間見えます。曲調は古めかしいですが、お子さんと一緒に機会があったらぜひ聞いてみてくださいね。

さて、しもやけがかゆいのはなぜか?ということについて、実はまだしっかり解明されていないそうです。そのため、しもやけのかゆみを抑えるための効果的な薬はまだわかっていないそうで、かゆみを抑えるためにはしもやけにならないよう予防するのが一番良いとか。一方で同じくかゆみの代表、じんましんとアトピー性皮膚炎のかゆみの原因はすでに解明されています。そしてそのかゆみのプロセスをブロックする治療薬も登場し、かゆみをある程度コントロールできるようになりました。じんましんについては今回は詳しく説明はしませんが、じんましんのかゆみをひき起こすヒスタミンを抑えることでよくなります。アトピー性皮膚炎のかゆみの原因は複数あります。

原因その①IL-31(インターロイキン31:いかにもイカツイ名前の彼は、感覚神経を直接刺激し、急性のかゆみを引き起こします。さらに彼は肌のかゆみを感じやすくします。

原因その②IL-4とIL-13  : このコンビはIL-31やヒスタミンなどかゆみを引き起こす物質が、感覚神経を刺激しやすくなるようにサポートします。(さらにこのIL-4とIL-13  コンビはアトピー性皮膚炎の原因である免疫反応:2型炎症反応にも関与しているのです)

原因その③ヒスタミン:じんましんの時は主な原因であったヒスタミンは、アトピー性皮膚炎のかゆみには一部しか関与していません。そのため抗ヒスタミン薬(いわゆる花粉症の薬)を内服しても一部のかゆみにしか効果はないのですが、わずかなかゆみの軽減にはなります。

原因その④搔くこと!! :かいちゃダメと分かっていてもかいてしまうのはみな同じです。見れば見るほどかゆくなり、かきむしったあとの皮膚を見て今度は後悔したり・・。かゆみは視覚的刺激によっても脳にかゆみを伝えるそうですので、この衝動は仕方がないのです。(なのでお子さんをかいちゃダメって言っているでしょう!と怒らないでください😢)そうは言ってもかくことで、皮膚のバリア機構を壊し、炎症を引き起こし、炎症が起これば、またかゆみも強くなりと悪循環に陥ってしまいます。まさにスーダラ節の「わかっちゃいるけどやめられない」です。(古すぎ💦検索してみてください)

※イメージが付きやすいよう、ここではIL-31などのサイトカインを悪者のように仕立てていますが、本来からだを正常に機能させるために必要なたんぱく質です。過剰にあると、逆にからだに害をもたらすこともありますが、本来悪者ではありません!!

このようにアトピー性皮膚炎の病態はだいぶ解明されています。しかしそれでも遺伝的素因も含む様々な要因が関与しているため、アトピー性皮膚炎を根本から確実に完治させる治療法はないのです。つまり皮膚の炎症を抑えることこそがアトピー性皮膚炎における最も大切な治療となります。炎症を抑えるためにまずは抗炎症外用薬を使います。いわゆる外用ステロイドです。外用ステロイドはよく効きます。ステロイドを適切に使えば多くは寛解(見た目はきれいな状態だが、皮下にはまだ炎症が残っている状態)に導入できますがこの状態を維持するのがまた困難。寛解を維持できない場合または抗炎症外用薬をつかってもなかなか寛解に導入できない場合はどうするか?そう、上の原因たちをやっつける方法を考えてみましょう。そこで登場するのが生物学的製剤と言われる治療法たちです。これらはいわゆる注射薬剤です。

治療①デュピルマブ(商品名:デュピクセント):原因その②IL-4とIL-13 をブロックする。それによりアトピー性皮膚炎の炎症の原因である2型炎症反応が起きないようにするだけでなく、かゆみをおさえ、さらに皮膚のバリア機構も守ってくれます。

治療②ネモリズマブ(商品名:ミチーガ):原因その①をブロックし、かゆみを抑えます。かゆみを抑えることは皮膚のバリア機構を守ることにつながります。原因その④搔くこと!! の悪循環を断つことにつながります。

治療③トラロキヌマブ(商品名:アドトラーザ):原因その②のIL-13単独を選択的にブロックします。治療①と同様、2型炎症反応がおきないようにし、かゆみの軽減や皮膚バリア機構も守ってくれます。

これらスーパー戦隊たちのデメリットは①注射すること②受診回数が増える(自己注射なら受診回数を抑えることができます)③副反応に注意(投与部位の腫れ、結膜炎など)④お金が高い!!などがあげられます。②・③については必ず受診時に詳細を説明します。なおデュピクセントによって太るという明確な報告はありません。④は当院のある東京23区内にお住いの場合は18歳まで自己負担はなく、無料です。(各自治体でご確認お願いいたします)そして①に関しては三者三様です。注射するぐらいならかゆい方がましという方も多いでしょう。みな注射は嫌なのでそれは仕方ありません。前回の鼻づまりもそうですが、重篤な病気ではありません。しかし、特に受験生にとってかゆみをコントロールすることは死活問題と言っても過言ではありません。かゆみと集中力・成績・作業効率の関係はじつはとっても深いのです。もちろんかゆみがひどければ、集中力は落ち、睡眠不足になり、昼間も眠くなり、ストレスや食生活のアンバランスもあるとさらに皮膚も悪化します。アトピー性皮膚炎は高校生になっても、自分一人ではコントロールの難しい、長期的で、根気と手間が必要な疾患です。そして私たちが思っている以上に子供はアトピー性皮膚炎であることにストレスを感じています。「薬ぬったの?」「かいちゃダメだってば」「勉強に集中!」私も我が子に何度、そう声をかけてしまったかわかりません。しもやけと異なり、アトピー性皮膚炎の治療は研究が進み、かゆみのメカニズムが解明され、そのメカニズムを標的とした治療法が開発されました。ご本人の希望やご家族の意向も様々かと思いますが、めざすことはみな同じ「かゆみのないこと」です。そのために様々な選択肢があることを今回知ってもらえたらうれしいです。

結論

アトピー性皮膚炎の治療は近年進歩し、かゆみをコントロールする方法の選択肢がふえました。かゆみをコントロールすることは集中力・睡眠の質を高め、成績や作業効率のUPにつながります。「かいちゃダメ」より「かゆくない」をめざして我慢せず、積極的に治療することをススメます。

 

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