こんにちは。番町麹町こどもクリニックです。
フルミストを投与していると「あ、この子鼻炎ありそうだな」と分かるようになりました。よく見ると目もかゆそうだったり、皮膚の状態も悪かったり、咳が朝方止まらないとか。秋はブタクサやイネ科などスギ以外の花粉が飛散するうえ、夏のジメジメで一気に増えたダニやカビたちの死骸や糞が増えます。その結果通年性アレルギー性鼻炎(ダニ・ハウスダストに反応)の症状が強くでる、ダニ・ハウスダストに反応して皮膚のバリア機構が壊れる、ダニ・ハウスダストに引き起こされた喘息が悪化するなど、春のスギ花粉とは異なる体調不良のこどもたちが増えるのです。実はスギ花粉以外の花粉症も増えていて、この11年間でおよそ10%も増えています。れっきとした花粉症、つまりはアレルギー性鼻炎なのですが、なぜだか秋のアレルギー症状に対しては、薬を使うことに消極的な方が多いようで、
「抗アレルギー薬のむと眠くなるでしょ?春だけは飲んでいます」とか
「ちょっと鼻詰まってますけどそのうち治りますよね。なら我慢します」など・・。
というのも花粉症のイメージがそもそも悪すぎる。さらにアレルギーの薬は眠くなるというイメージが強く、できれば敬遠したい。スギ花粉の時は仕方あるまいが、こんなスギ花粉の飛散していない時まで抗アレルギー薬飲むのはちょっと気が引けてしまう、という思いがあるようです。「花粉症の薬は眠くなる」のは確かです。ただし「眠くなりにくい花粉症の薬もあるのです」「眠気作用が少ないものは効果が弱いという訳ではない」というのも事実です。アレルギーの薬もたくさんあります。自分にあう抗アレルギー薬を選び、症状が強いときは使用しながら、我慢することなく秋を満喫できることを願いながら今日は抗アレルギー薬のお話です。
一般的に抗アレルギー薬と呼ばれるものは、それぞれの作用機序によって分類されています。
①アレルギー症状を引き起こす肥満細胞からでる化学物質がでるのを抑える=ケミカルメデイエーター遊離抑制薬(商品名:リザベン、クロモグリク酸ナトリウムなど)
効果は強くない
②鼻閉を引き起こす血管拡張作用や好酸球に作用し鼻汁を引き起こす物質であるロイコトリエンを抑制する=ロイコトリエン受容体拮抗薬(商品名:プランルカスト、モンテルカストなど)
鼻閉に対する効果は第二世代抗ヒスタミン薬より優れている。鼻汁にも有効。即効性より長期投与で改善率があがる。
③アレルゲンが肥満細胞にくっつき、ヒスタミンを出すことでくしゃみ、鼻汁、かゆみなどがでるため、ヒスタミンが働くのを抑える=抗ヒスタミン薬
(1)第一世代抗ヒスタミン薬(商品名:アリメジン、レスタミン、ポララミンなど)
即効性のあるアレルギー症状抑制作用がある一方で、眠気・認知能力の低下・集中力の低下がみられさらに抗コリン作用である喉の渇きや便秘が問題。(私が小児科専攻医の頃、こどものMRI撮影時などの鎮静にアリメジンシロップが使われていました。もちろん効き目がない子もいましたが、それだけ眠気の作用が強いのかと考えるとアレルギー薬として使用するのは躊躇してしまいます)車を運転する人には注意とされており、気管支喘息の患者様には禁忌です。
(2)第二世代抗ヒスタミン薬
一般的に花粉症などで処方される薬はほぼこれです。第一世代の薬で問題となった鎮静作用や抗コリン作用が軽減されています。しかし第二世代の薬もさまざま。効果が長いものもあれば血液脳関門を通過しにくいものもあります。そもそもなぜ鎮静作用(簡単に言うと眠気)がでるかは、経口投与した薬の効果が脳まで届くかどうかで決まります。脳まで届きやすいものは中枢神経まで作用する、つまり眠気がでるという訳です。ただし脳への届きやすさとアレルギー薬の強さは相関しません。脳への届きやすさは脂溶性かどうかで決まります。薬の強さではなく、性質によるのです。
鼻アレルギー診療ガイドライン2024を参考に
脳内へ侵入しにくさ=眠気が少ないであろう薬をランキングしてみました。☆が多いほど眠気が少ない。(筆者作成、効果には個人差があります)
☆☆☆☆自動車運転制限なし ビラスチン(ビラノア)、フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)
☆☆☆ 自転車運転制限なし デスロラタジン(デザレックス)、ロラタジン(クラリチン)
☆☆ 自転車運転注意 ベポタスチンベシル酸塩(タリオン)、エピナスチン塩酸塩(アレジオン)、
☆ 自転車運転禁止 オロパタジン塩酸塩(アレロック)ルパタジンフマル酸(ルパフィン)、レボセチリジン塩酸塩(ザイザル)
注;現在内服してる薬で眠気がないのであれば薬を変更する必要はありません。繰り返しますが、眠気と薬の強さに相関はなく、眠気のない(であろう)薬に変更したら効き目が弱くなると言う可能性もあります。
いずれにしても第一世代より眠気などの鎮静作用や抗コリン作用は少なく、鼻閉にも効果があります。
また妊娠中アレルギー薬の内服は推奨はされていませんが、妊娠5ヶ月以上になれば赤ちゃんの奇形のような形態異常は起きません。クラリチンやデザレックスは児への有害報告がないとされています。(オーストラリア基準、Mother’sMilkより)
結論
抗アレルギー薬は眠気があると敬遠されがちですが、すべての薬で眠気がでるわけではありません。副反応がでないよう年々改良されていますので必要以上に警戒する必要はありません。これから始まる受験シーズンに向けてアレルギー症状を我慢するより、眠気の少ない薬を利用しながらストレスなく過ごせるようサポートいたします。




