
こんにちは。番町麹町こどもクリニックです。
暑い夏が終わったと思ったら、あっという間に年末で、そうかと思うともう桜舞う別れの季節。毎年思いますが、一番長いはずの二学期から年度末って電光石火のごとく過ぎ去っていきますよね。光陰矢のごとし、歳を重ねるたびに時の流れが早くなります 🙄 「一日って長いなあ」って感じる方はまだまだ若い証拠です 😆
そんなこんなで年が明ければ早くも花粉の知らせもちらほら。スギ花粉は年初から飛び始めて3月にピークを迎え5月ごろまで飛散します。主な症状である鼻水、鼻閉、くしゃみは集中力の低下、睡眠障害、記憶・学習障害、さらには歯並びにまで影響があるといわれていますが、最近の研究で、こどもの慢性的な鼻づまりは、脳の重大な機能や発達に悪影響をもたらす可能性があることがわかりました。特に鼻閉は慣れてしまうといい意味でQOLを下げないと思われがちですが、それは間違った解釈です。鼻閉になれてはいけません。前述のように鼻閉は脳や発達に悪影響を与えかねない重大な症状です。今日はそんなアレルギー性鼻炎を、根本から治療する舌下療法についてのお話です。
アレルギー性鼻炎にはご存じの通り「対症療法」と「免疫療法」があります。「対症療法」は抗ヒスタミン薬や点鼻薬でアレルゲンに反応して現れた症状を抑える薬です。一方免疫療法はアレルゲンを体内に取り入れ慣れさせることで、実際にアレルゲンが入ってきても免疫反応を起こさせないようにする薬です。つまりアレルギー反応を途中でブロックする「対症療法」に対し、アレルゲンを異物と認めさせず、そもそもアレルギー反応自体を起こさせないのが「免疫療法」というわけです。免疫療法にもアレルゲンの取入れ方法の違いで「皮下投与」と「舌下投与」がありますが、本人や通院の負担も少ない舌下投与が主流です。日本ではスギ花粉とダニに保険適用があり、これらに対するアレルゲンを舌の下から体内に取り入れる治療法を舌下療法と言います。舌下療法を始めたいけど難しいことはわかりにくくて・・という方でも受け入れやすいよう概要だけ説明します。詳しくは『アレルギーポータル』などの最新の知見に基づき正しい情報を提供するウェブサイトでご確認ください。
舌下療法のHow to
何歳から (How old?)–5歳から ただしその前にアレルギー検査による確定診断が必要です。さらに毎日内服する必要があるので就学後をススメます。
どれくらい(How often?)-毎日 ただし宿泊行事など保護者の監視下にないときなどは、安全面からスキップしてもOK。また体調不良や口の中に傷があるときもスキップしましょう。通院は副反応などが落ち着きましたら1か月に1回程度です。
いつまで(How long?)–3年から5年 ただし薬をやめたあと時間の経過とともに効果が薄れていく可能性はあります。海外の報告では数年単位で効果が持続したとされています。
どれほど効果がある?(How effective?)-個人差があります。投与開始後、初回の花粉飛散終了時点で(ミティキュアの場合は1年以上投与した時点で)効果が感じられないときは中止か継続か判断します。
デメリットは?(Any disadvantages?)-飲み始めはアレルゲンに接触したときのような症状がでます。口の中のかゆみ・違和感、耳のかゆみおよびひどいときはアナフィラキシーを起こす人もいます。アナフィラキシーを起こした人は舌下療法の継続をおすすめできません。副反応は1か月ほどでよくなることが多いですが、改善しない場合は相談が必要です。
何が違うの?(What’s the difference?)-毎日飲むなら抗アレルギー薬と同じじゃないの?と思われるかもしれません。しかし抗アレルギー薬はおそらくこの先もずっと飲み続けなければならない一方で、舌下療法は3~5年続けた後しばらく投与の必要ありません。また舌下療法を行っている間もアレルゲンに対する症状が緩和されますので、抗アレルギー薬を飲んでもつらかった鼻閉症状などの改善が期待されます。
いつ始めるべき?(When?)–ミティキュアはいつ始めても構いません。シダキュアは花粉の飛散時期に新たに始めることはできないので、一般的には6月から12月上旬までとされています。つまり始めるなら今がラストチャンス!!
誰が始めるべき?(Who?)-抗アレルギー薬を内服すれば、症状が何とかなる方は必要ありません。抗アレルギー薬を内服しても、「花粉症がつらい」「でも花粉症はある程度仕方ない」「鼻詰まりは結構慣れたら平気なもんだ」という方にはススメます。花粉症も鼻詰まりも我慢していいことはありません。年中鼻水をすすっているようなら、百聞は一見にしかず、あれこれ悩むより舌下療法の門をたたいてみましょう。
結論
鼻水、鼻づまり、くしゃみに慣れてはいけません。集中力の低下、睡眠不足、記憶学習障害、歯並びにまで影響し、脳の発達への影響も指摘させています。 抗アレルギー薬を内服しても、症状がコントロールできていない方は舌下療法を検討してみることをススメます。




