
こんにちは番町麹町こどもクリニックです。
あっとういまに過ぎた年末年始ですが、みなさんはどんなごちそうを食べましたか?年越しそば、カニ、お刺身、すき焼き、お節、お雑煮etc…実はごちそうにはアレルゲンがいっぱいです。そばに始まり、カニ、エビ、卵(伊達巻)、魚卵(かずのこ・いくら)、大豆(黒豆)、ゴマ(たたきごぼう)、タラ(かまぼこ・伊達巻)、いわし(田作り)、サツマイモ(栗きんとん)、ゼラチン(高級ハム)などなど・・好きなおせちランキングの上位を占める食べ物もアレルギーの原因となりえます。このようにアレルギーの原因となる食べ物は世の中にあふれています。同時にインターネット上にも食物アレルギーの情報はあふれています。なかには誤った情報もありますので、今回は食物アレルギーの知識を正しく深めておきましょう。
どんなときに「食物アレルギーかも?」と疑う?
①皮膚の症状 口の周り、首などが赤くなる。全身に及ぶ場合もある。じんましんがでる、湿疹(紅斑)がでる、耳がかゆい。ただし「鮮度の落ちた鯖を食べたらじんましんがでた」、「長いもを食べると口がかゆくなる」などは体の免疫反応によってでる症状ではありませんのでアレルギーではありません。
②口腔内症状 口の中がかゆい、ぴりぴりする、いがいがする。喉の奥に違和感、かゆいなど。他覚症状として猫のように喉を鳴らしている。食べるのを嫌がる。
③消化器症状 腹痛や下痢・嘔吐、気持ち悪いなど
④呼吸器症状 ゼイゼイ、咳こみ、声がかすれている、呼吸が苦しそう
⑤全身症状 ぐったり、意識もうろう、顔が真っ青
食事を摂ったあと30分以内に出ることが多いですが、遅発性でおよそ2時間後にでることもあります。さらに接種後運動したあとに症状がでることもあります。症状は一つとは限りません。皮膚の症状+消化器症状など他の症状がないか確認して下さい。
「食物アレルギーかも」と疑ったらどうする?
①現在の状態を確認する。呼吸器症状、全身症状がでた場合は直ちに医療機関を受診しましょう(場合によっては救急車を要請)。症状が落ち着いていたら(皮膚の症状だけなど)慌てて救急外来を受診しなくても大丈夫です。かゆみや発赤が改善しない場合、または症状が落ち着いていてもまだかかりつけ医がやっている時間であればできるだけ受診しましょう。自己判断でアレルギーの薬や自宅にある外用薬を塗布することはお勧めしません。
②記録を残す。皮膚症状の場合は写真をとりましょう。また何をどのくらい食べたのかを記録しましょう。しっかり加熱されていたか、卵黄だけか全卵だったか、加工食品の場合は原材料名を確認して下さい。日本では原材料名の記載が義務づけられていますので、日本の製品には必ず記載があります。逆に原材料名の記載がないものはアレルギーの観点からは食べないようにすることを勧めます。原材料名は、含まれている成分が多い順に記載されています。つまり原材料名:〇〇、△△、××・・・とあれば上から3つぐらいが原因となっていることが多いのですがまれにわずかな混入物が原因の場合もありますので原材料名すべてを残しておきましょう。(小麦やカカオマス、くるみなど成分として分かりますが、最後の方になればなるほど酸化防止剤、セルロース、クエン酸などなんなのかよくわからない表示になってきます。人間、わからないものは省きたくなりますが、ここは省略せず記録してください。)そして丸々1個食べたのか、半分なのか、小さじ1くらいなど・・食べた量の記録も重要です。
③かかりつけ医またはアレルギー専門外来を受診する。症状が落ち着き、元気になってからアレルギーの原因を特定するために受診します。詳細な問診が原因特定のためにとても大切ですので(1)摂取した時間(2)摂取したものと量(3)症状が出た時間(4)症状の詳細(5)その後の状況などが説明できる準備をお願いします。その情報をもとにアレルギーの検査を行うか、今後の方針について相談することになります。
アレルギー検査にはどんなものがあるの?
①特異的IgE検査 血液検査で調べます。それぞれのアレルゲンに対するIgE抗体の測定値とクラスが結果として出ます。クラスは0~6まで7段階で表記され、クラス0が陰性、クラス1が偽陽性、クラス2~6が陽性と判断します。しかしクラスが高いほど症状が強いといえるかはアレルゲンによって異なります。さらに陽性であっても症状が出ない場合もありますし、逆に症状があっても抗体がまだ上昇していない場合もあります。特異的IgEの結果は目に見えて分かりやすいですが、それだけでは判断できませんので注意が必要です。
②皮膚プリックテスト 皮膚にアレルギーの原因となるエキスを少量滴下して、専用の針で刺し、皮膚の反応を見る検査です。
③パッチテスト 皮膚に原因となる物質(金属や毛染め剤など)を皮膚に貼り付けて、反応を見る検査です。②にも言えることですが、この検査はIgE抗体が関与していることは証明できないので、主にⅣ型といわれる金属アレルギーや接触皮膚炎などのアレルギーの証明に有用です。※いわゆる食物アレルギー、スギアレルギーやダニアレルギー、ハチアレルギーなどはそれぞれに対するIgE抗体が作られることでアレルギー反応が起こるI型アレルギーです。これらのアレルギーにはIgE抗体が関与しているので、IgE抗体を測定することでアレルギーの有無がわかるのです。
④食物経口負荷試験 この検査は「食物アレルギーの確定診断(原因アレルゲンの同定)」に最も有用ですが、「今現在の安全に摂取可能量の決定と少しずつ摂取した結果、どの程度たべられるようになったかの治療評価(耐性獲得の指標)」としても有用です。
このようにアレルギーの検査は1回行えば終了ではなく、定期的に行い(半年から1年に1回程度)、その都度結果と症状を総合して評価する必要があります。そのため「アレルゲンが同定できた」から終わりではなく、その後も診療を続けるためかかりつけ医やアレルギー専門外来でアレルギー検査をすることを勧めます。当院では①特異的IgE検査(必要があれば何歳でも)および④食物負荷試験(原則6歳以上)を行っています。
※通販サイトなどでキットが販売されている血中食物抗原特異的IgG抗体検査ですが、診断的有用性は公式に否定されています。
アレルギー検査はいつやればいいの?
特異的IgE検査は前述の通り、検査の結果だけでは評価できません。症状と合わせて評価するので、保育園に入る前に、離乳食を始める前に「食べたことはないけどアレルギーがないか調べたい」という場合には有用ではありません。一番初めのアレルギー検査は実際に少量ずつ食べてみることです。アレルゲンにもよりますが、5,6か月から早めに接種したほうがアレルギーの発症予防になるといわれているものもあります(参考:鶏卵アレルギー発症予防に関する提言など)。ただし接種開始前にアトピー性皮膚炎を寛解させていることが望ましいなどの条件もありますので自己判断せずご相談ください。上記のようなアレルギーかも?と疑われる症状がでたら、検査を検討しましょう。当院では必要があれば0歳児からアレルギー検査(血液検査)は可能です。ただし前述のように症状がないのに検査をしても有意な結果はえられず、お子様の負担にしかなりません。検査が必要かどうかは患者様ごとに異なります。相談の上決めましょう。
アレルギー検査はやったほうがいいの?
結論からいうと特異的IgE抗体検査はやったほうがいいと言えます。ただし、疑わしい症状がでてから、検査をすることが採血という嫌な処置のデメリットを上回るほど必要と判断してから(回りくどいですが、親は結果を知りたくても採血されるのはお子さんです。そして採血されることは子供にとって注射と同様最も病院でやりたくない処置です。注射・採血・点滴の3大脅威)、そしてなによりもアレルギー検査をして終わりではないことを理解していただいた上でやることを勧めます。食物アレルギーの最終目標はあくまでも「日常生活に支障がないこと」 です。アレルギー検査で問題なければ、疑われた食材を安心して摂取できます。一方で陽性だった場合は「やっぱり」で終わりがちですが、その先が重要です。食物アレルギーがあってもこどもたちが安心して、ストレスなく、日常生活をすごせるようになることを目標に一緒に考えていきましょう。
結論
お子さんが口にするものは原材料まで見る習慣を。「食物アレルギーかも?」と疑ったら、まず落ち着いてお子さんの状態を最優先に確認、その後記録に残すことを忘れずに。アレルゲンの検査は原因を特定するだけで終わりません。最終目標は「日常生活に支障がないこと」です。




