こんにちは、番町麹町こどもクリニックです。
自分が小さいときどのように予防接種をしたか覚えていますか?と言っても年代によってだいぶ異なりますが、私の古い記憶は保健所での集団接種です。母に連れられ、行列に並び、その先に何があるのかだんだんわかってきて、逃げ出そうとしたときにはもう遅く、がっちり押さえされてしまい、大泣きしながら注射をした嫌な記憶があります。だからいつまでたってもわたしにとってあの保健所は、なんとなく消毒のにおいに満ちた暗くて嫌な場所なイメージです。今でこそ予防接種は、ほぼかかりつけ医で実施するため、保健所よりは明るく楽しいイメージかと思いますが、当院ではそのように予防接種が嫌な記憶にならないよう、がんばったらガチャガチャのお楽しみをつけています。(ガチャガチャの中身は・・お楽しみです。3㎝×3㎝×3㎝程の大きさでないとカプセルに入らないのでいつも何にしようか楽しみながら物色しています。よいものがあったら教えてください🎵)予防接種は確かに痛いし、嫌なものです。でもワクチンは嫌だったけどそのあと「ガチャガチャやって楽しかったなあ。」とか「帰りにアイス買ってもらえてうれしかったなあ」などのポジティブな思い出とともに記憶されてもらえることを祈りながら、今日もがちゃがちゃの中身を考え中です。
さて麻疹の感染報告が耳にする機会が増えてきました。2025年から継続して麻疹の感染がみられていますが、多くは海外渡航歴があり、海外で感染し、日本で発症していると推測されるケースでした。しかしここにきて海外渡航歴のない方の感染報告もみられるようなり、国内での感染が疑われます。感染者がひとりいれば短期間で集団感染が発生するほど感染力の強い麻疹ですが、残念ながらマスクや手洗いのみで完全に防ぐことは出来ません。ではどうすればこどもたちを麻疹の感染から守れるでしょうか?それには麻疹ワクチンを接種するほか方法はありません。今回は年齢別にMRワクチン接種の方法について確認していきましょう。
その前にまず大切なこと。大前提として麻疹ワクチンを接種し麻疹に対する免疫を獲得することが最も有効で唯一の予防法です。よく麻疹に実際に感染した方が強い免疫を獲得できるので、むしろ感染した方がワクチンの副反応もなく、よいのではないかという考えを聞くことがあります。しかし正直「とんでもないこと!」です。麻疹の臨床症状は重篤です。いわゆる高熱、発疹は1週間ほど続き、体力が回復するまでに1ヶ月ほどかかると言われています。しかもそれは合併症がない場合の話です。麻疹は約30%に肺炎などの合併症が起こります。さらに怖いのは麻疹に罹患してから7~10年後に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症することがあります。SSPEとは知能障害や運動障害を起こす中枢性疾患で、発症から数ヶ月で死の転帰をとる進行性で予後不良疾患です。特に2歳未満で罹患するとSSPEのリスクが高くなると言われています。一方で麻疹ワクチンの副反応というのは、生ワクチンなので弱毒化された麻疹ウイルスによる反応で、発熱、麻疹様発疹がみられることがありますが、いずれも一過性です。重篤なものとして脳炎・脳症は150万に1人以下、ワクチンによるSSPEの発症はないとされています。米国やヨーロッパ諸国、韓国は積極的な麻疹ワクチンの2回接種推奨により麻疹ウイルスの排除に成功していますが、主に世界の発展途上国ではいまだに多くのこどもたちが麻疹に感染し、いのちを落としています。この話を聞いてからも「ワクチン接種するより実際に感染した方がよい」と考えるでしょうか?我が子にワクチンを接種するかはどうか親の判断であり、強制ではありません。ただ正しい情報のもと判断してほしいと切に願います。
それでは本題戻ります。
【生直後~生後6ヶ月まで】母体由来の麻疹の免疫があります。もちろん母親がMRワクチンを接種していなければ移行しませんのでお母さんのMRワクチン接種歴も確認しましょう。また生後6ヶ月というのは個人差がありますので、確実に免疫があるとは言えません。
【生後6ヶ月~1歳】MRワクチンの定期接種は1歳~になりますので、この時期が一番無防備な状態です。周囲で麻疹の流行があれば任意接種としてMRワクチンを接種しても問題ありません。ただし任意接種した場合でも1歳になったら定期接種としてのMRワクチン①を打ちましょう。なぜなら風疹ワクチンに関しては6ヶ月から1歳までの接種の有効性はわかっていないからです。つまり定期接種としてMRワクチン①を接種しなければ、風疹に対する免疫がない可能性がありますので、忘れずに接種してください。そして通常通り就学前の一年間で定期接種MRワクチン②を打つことになります。つまり任意接種をした人は全部で3回接種になります。
【1歳】1歳になりましたらできるだけ早く定期接種①を打ちましょう。定期接種なのでお手持ちの接種券で東京都23区内の登録医療機関のどちらでも接種できます。
【1歳以降(定期MRワクチン①後)〜5歳(定期MRワクチン②前】1回MRワクチンを接種しましたら95%の人に高い免疫がつくので、定期MRワクチン②を通常より早める必要はありません。残りの5%の人はMRワクチンの免疫がしっかりつかないことになりますが、残念ながら誰に免疫があって誰にないのか、これは正直抗体検査をしない限りわかりません。ではそのために抗体検査をするべきか?個人的にはあまりおすすめはしません(痛い血液検査なので)。どうしても心配な場合はかかりつけ医に相談してみましょう。
【就学前の一年間】定期MRワクチン②をできるだけ早く打ちましょう。
【2000年以前に生まれた方】MRワクチンまたは麻疹ワクチンを2回接種していない可能性が高いです。ご自身の母子手帳を確認し、二回接種が確認できなければワクチンを接種しましょう。親たちが麻疹に感染しないことがこどもたちを麻疹から守ることに直結します。
※妊娠中に測定したのは風疹抗体価です。通常妊娠中に麻疹の抗体価は測定しませんので、麻疹ワクチンの接種歴で判断してください。※※現在MRワクチンの供給が不安定のため、厚労省からもMRワクチン初回投与のかたを優先にするよう呼びかけています。在庫状況はクリニックごとで異なりますので事前にご確認ください。
結論
MRワクチンを適切な時期に、2回必ず打ちましょう。それ以外にこどもたちを麻疹から守ることができる有効な手段はありません。




