こんにちは。番町麹町こどもクリニックです。
新学期が始まり、早くもインフルエンザ流行の足音が・・。そうなるとこどもたちは「また注射の季節がやってきた」とびくびく。痛いのはだれでも嫌です。当たり前です。でも昔から痛みは耐えろ、耐えられないものは弱いという概念が残っているのも確かで、実際にある程度の痛みは生きていく上で不可欠です。転んだときの痛みがあるから次は気をつけよう、ボールが当たったら痛いから自分も人に当てないようにしよう、と人は痛みから学びます。しかし『ある程度の痛み』とは人それぞれ。だから「この程度の痛みも耐えられないのか?」とか「たいしたことのない痛みなのに大げさな」などと人の痛みを分かったように考えることはできないのです。つまり注射の痛みは耐えて当たり前ではないのです。それでも頑張って注射の痛みに耐えているこどもたちを大いに褒めてあげましょう。
ここで注射を頑張るこどもたちへのNGワード
「痛くないから」「悪いことするとチックンだよ」「もう〇〇才でしょ」
(といいつつ私も我が子に「なにこんなことで怖がっているの?いくつになったの?」と激しく言っていますが・・)
一番効果的なのは注射が終わったら「頑張った!」「エライ!すごい!」と大げさに褒めてハグ!!いくつになっても親からのハグはうれしいものです。
一方でそもそも病院に連れて行くだけでも一苦労な場合もあります。そんなとき嘘をついて連れていくのはNGです。ではどうする?そんなときは麻酔のテープを使いましょう。麻酔のテープを注射する前に貼付すれば針刺しの痛みを緩和することが出来ます。こどもたちにそう伝え、納得した上で受診しましょう。
麻酔のテープにも2種類あります。①ペンレステープ②エムラパッチ(またはエムラクリーム)どちらも局所麻酔薬で痛み神経の伝達をブロックします。2つのテープの違いは主に麻酔薬の含有量です。①は麻酔薬リドカインのみですが②はリドカインに加えてプロピトカインが含まれていますので単純に考えてエムラパッチはペンレステープより2倍の効果があります。その分お値段もおよそ2倍。予防接種に伴う麻酔テープの貼付は自費診療のため自己負担になりますが、痛みと恐怖心を緩和させる手段として有効です。
それでも不安と言う場合は冷却&振動法を行ないます。注射部位を冷やして振動させることで一時的に痛覚を鈍くさせ、穿刺時の痛みをさらに緩和させます。単純な保冷剤で冷やすことでもかなり効果的ですが、冷却と振動がセットになったBuzzyミニーという医療機器があります。注射の痛み、不安、恐怖心をやわげる効果があると臨床研究で報告されており、アメリカをはじめ多くの国の医療機関で使用されています。
さあこれで準備は万端♪ 予防接種はクリアです
半世紀前なら「痛みに耐えてこそ美しい」という考えだったかもしれませんが、今は「痛みを緩和することで一歩踏み出せるならその方がよい」という考えに変化しつつあります。実際に今予防接種にかかわらず、痛みの緩和という観点も重視されるようになりました。たとえばアレルギー検査をするための採血は、麻酔薬テープとBuzzyミニーを使えばハードルはかなり低くなります。指先採血で可能なアレルギー検査は負担の少ない検査方法ですが、検査項目が限られてしまうのが難点です。その点、肘の血管からの採血がしやすくなれば、もっと効果的なアレルギーの結果を知ることが出来るようになります。たとえばアトピー性皮膚炎のデュピクセントやミチーガの注射薬は、アトピー性皮膚炎の救世主と言われるほど効果が期待できる生物学的製剤ですが、こどもにとっては注射がネックとなります。しかしそれも麻酔薬テープとBuzzyミニーでだいぶ導入しやすくなるのではないでしょうか。大人にとっては高価な治療費がネックとなるところですが、こどもはその点は問題とならないので、注射=怖い、痛いというイメージを払拭してぜひ多くのこどもたちに治療法の一つとして検討してもらいたいと考えています。
結論
注射の痛みは耐えて当たり前ではありません。まずは麻酔テープで恐怖心や不安を取り除き、Buzzyミニーを使用してさらに緊張を和らげましょう。痛みはかなり軽減するはずですが、無事終わったら「頑張ったね」とハグしてあげましょう。当院からはハグの代わりにガチャポンのプレゼントがあります。これで注射は痛くて怖いものではありません。




