
こんにちは。番町麹町こどもクリニックです。
寒くなりましたね。本屋に行ったらもうクリスマス一色でした。絵本コーナーもクリスマスの話がずらり。わたしが小さいころ好きだったクリスマスのお話は「ぐりとぐらのおきゃくさま」でした。あのケーキがおいしそうで、動物たちとみんなでパーティーするシーンは今でも胸躍ります。そんな昔からある本が今もクリスマスの絵本の定番なのか、絵本コーナーの目立つ場所に置いてありました。新しく定番となった本もたくさんあるなかで、変わらず人気をキープできるなんて、「やっぱりかつて一世を風靡したものにはそれなりの理由があるんだな」なんて思いました。さあそれはインフルエンザのお薬にも言えるでしょうか。絵本ほどではないにしろ、インフルエンザの薬が初登場しておよそ四半世紀の間にさまざまな新しい薬が増え、選択肢も広がりました。定番がいいのか、新薬がいいのか、そもそもインフルエンザの薬は必要なのか(以前のブログでも書きましたが、昔はインフルエンザの薬なんてなかったので、ひたすら耐えるしかありませんでしたがいつかは治ります。)小児科学会の2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針に沿ってお話します
まず大前提としてすべてのインフルエンザの薬、すなわち抗インフルエンザ薬は①有熱期間の短縮 ②早期投与による重症予防効果 が証明されています。そして幼児や基礎疾患のある人などへ投与が推奨されますが、抗インフルエンザ薬の投与は決して必須ではありません。とはいえ経験上、薬を投与すると翌日には解熱傾向で5日間の登園登校禁止期間のうち最後の2日は元気すぎて、保護者のほうが疲れたという方が多く、一方で投与しないと熱が下がったと思ったら夜になると出たり、とすっきしない印象です。抗インフルエンザ薬の投与により有熱期間を1日~2日短縮し、鼻やのどからのウイルス排出量も減少させる効果があります。それだけ?治すわけじゃないの?と思われるかもしれませんが、小児は解熱後2日経過しなければ登園登校できませんので、有熱期間の短縮はかなり重要ポイントです(親にとっても)。さらに一番の悲劇である家族順番にインフルエンザに罹患することを避けるためにも、ウイルス排出量の減少は魅力的な効果と言えます。
みなさんからよく聞かれる抗インフルエンザ薬による異常行動ですが、確かに以前はタミフルの添付文書に10歳以上の投与は異常行動を誘発するため禁止とありました。しかし2018年に研究班の検討により、タミフル投与に限った現象ではないと判断され、この文言は削除されています。そしてすべての抗インフルエンザ薬の添付文書に「抗インフルエンザ薬の有無、種類にかかわらずインフルエンザ罹患時に異常行動を発現することがある」と追記されています。つまり抗インフルエンザ薬を使わなくても、どんな抗インフルエンザ薬を使っても異常行動を起こす可能性があるということであり、すなわちインフルエンザに罹患したすべての小児・未成年者を少なくとも発熱から2日間は注意深く見守る必要があるといえます。
以上から異常行動の発現を恐れて、抗インフルエンザ薬を回避する必要はないことになります。前置きが長くなりましたが、抗インフルエンザ薬の種類についてフローチャートでお話していきます。

詳しくはこちら↓
※このフローチャートは小児科学会の25/26シーズン治療指針を元に作成していますので25/26シーズンのみ有効です。また来年度は今年のデータをもとに治療指針にもミニマムチェンジがあると思いますので、合わせて対応していく予定です。
結論
抗インフルエンザ薬は有熱期間の短縮やウイルス排出量を減少させ、家庭内感染のリスクを下げる効果がある。抗インフルエンザ薬使用の有無・種類にかかわらず、未成年者のインフルエンザ罹患時は、異常行動を生じる可能性があるので注意する。
抗インフルエンザ薬は年齢や状況に応じて推奨される種類がことなる。その都度医師と相談して決めよう。(フローチャートを参考にしてください 😀 )




