ナッツは早く食べさせた方がいいの?~食物アレルギーのウワサの真相に迫る~|番町麹町こどもクリニック|四ツ谷・麹町の小児科・内科・アレルギー科

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ナッツは早く食べさせた方がいいの?~食物アレルギーのウワサの真相に迫る~

ナッツは早く食べさせた方がいいの?~食物アレルギーのウワサの真相に迫る~|番町麹町こどもクリニック|四ツ谷・麹町の小児科・内科・アレルギー科

こんにちは。番町麹町こどもクリニックです。

10年前、私の周りでは「1歳まで離乳食を食べさせない」とか「母乳をあげているママも卵を除去している」などの考え方があり、実践されている方もいました。その後「必要以上に離乳食を送らせる必要はない」とか「母親の妊娠中・授乳中の食事摂取制限は児のアレルギー発症予防に関与しない」との提言があり、アレルギーの考え方は少しずつ変わっていきました。それが今や「鶏卵の早期接種は鶏卵アレルギー発症を予防する」「ピーナッツは離乳食早めに食べた方がピーナッツアレルギー発症を予防する」という考えが主流となり、「10年前と真逆では?」と突っ込みたくなります。つまるところそれだけ食物アレルギーは『ウワサ』が多いのです。そして同時に勘違いも起きやすい。ネットでいろいろ検索できるようになった分、真偽不明の情報が出回り、保護者の方を惑わせたり・・。今回誤解の生まれやすい食物アレルギーのウワサの真相に迫ります。

ウワサの真相

その①鶏卵の離乳食早期接種は鶏卵アレルギー発症を予防する→〇 ただし湿疹がある子はまずは湿疹の治療が優先

こちらは成育医療センターの研究で予防効果が実証されています。(PETIT研究 Lancet. 2017 Jan 21;389(10066):276-286. )詳しくは成育医療センターのHPを参考にされるとよいと思います離乳食における鶏卵摂取の考え方 ~鶏卵アレルギー予防のために~ | 国立成育医療研究センター。ただし、注意していただきたいのが、湿疹のある場合です。食物アレルギーは経口からだけではなく、経皮、経吸入などからもアレルゲンに暴露されることで食物アレルギーを発症するリスクになることがわかっています湿疹はできるだけ早期にしっかり治してから離乳食開始時期を迎えましょう。ひどい湿疹が続いていると鶏卵が経皮的に暴露されすでに鶏卵アレルギーを発症している可能性があります。よって離乳食前の困難な湿疹は自己判断せず、鶏卵接種の前に医師に相談することを勧めます。

その②ピーナッツの離乳食早期摂取はピーナッツアレルギー発症を予防する→△ ただし誤嚥・窒息の恐れやアナフィラキシーも増えており慎重に行なうべき

こちらも複数の文献で有効性が証明されています(LEAP研究 The New England Journal of Medicine掲載)しかしピーナッツという性質上誤解が生じやすく、安全に早期接種できる方法や指針等は定まっていないにも関わらず『ピーナッツは早期摂取した方がいいという』情報だけ一人歩きしている印象を受けます。まずピーナッツは落花生のこと、アーモンド、カシューナッツ、くるみなどの木の実類とは別物です。よくサツマイモ掘りが出来る農園の傍らに落花生の葉を見かけますが、サツマイモのようにその葉を引っこ抜くと根っこの先に落花生がついてきます。落花生はマメ科の作物なのです。この光景を目にしたことがあれば落花生と木の実類は別物だとイメージしやすいですが、世の中を見回せば『ミックスナッツ』のなかにはアーモンド、ピーナッツ、クルミなどが含まれていたり、アレルギー指導表も『ナッツ類』の項目にピーナッツ・アーモンド・クルミから選んで丸を付けるフォーマットも少なくありません。(※実はこども家庭庁からダウンロードできる生活管理指導表にはピーナッツとナッツ類が別の項目になっています)それは勘違いしてしまうよねと納得です。『ピーナッツは早期に摂取したほうがよい』と聞いて、『そうかじゃあナッツ全般チャレンジしてみようと』と考えてしまうのも無理はありませんが、その結果早々にアーモンドやクルミを摂取させ、アナフィラキシーを起こすケースもあるので注意して下さい。さらに摂取の方法です。ピーナッツをペーストや粉末にして摂取することを前提としていますが、実際には包丁で細かくした程度の大きさであげてしまうケースもあり、誤嚥や窒息の恐れがあります。本来『ピーナッツ含む硬い豆類やナッツ類は5歳以下には食べさせないで』とこども家庭庁でも啓発しているぐらいです。もしも誤嚥してしまったら全身麻酔の上内視鏡で摘出しなければなりません。ピーナッツの早期摂取にはpaqupa※を利用するかフードプロセッサーを使用し、完全に粉末orペーストにして、耳かきひとさじ程度を摂取するようにしましょう。

その③ピーナッツアレルギーだからアーモンドも食べられません→× ピーナッツはマメ類、ピーナッツアレルギーでも木の実類はOKの場合もあります。

上述したようにピーナッツは豆類であり、木の実類とまとめて除去する必要はありません。ピーナッツアレルギーがあっても木の実類を摂取できる場合はあります。しかしこれらの食品は製造ラインで一緒になることが多かったり、 ミックスナッツのようにピーナッツと木の実類が文字通りMIXされている食品も多くあります。よってピーナッツアレルギーがあったら、『ナッツ』の文字には目を光らせて注意するのは正解。でも実はミルクアーモンドチョコレートもマカデミアナッツチョコレートもピーナッツアレルギー(だけなら)でも食べられるんです。・・やっぱり無駄に除去するのは惜しいですよね(笑い)※実際ピーナッツアレルギーでかつ木の実アレルギーを持っている方もいます。疑わしい症状があれば自己判断せず、ご相談ください。

このように最近は早期摂取したほうが食物アレルギーの発症を予防するとの見解が強まっていますが、量だったり、形状だったり、まだ確定された方針があるわけではありません。しかしこれらを配慮しなければこどもたちを危険にさらすことになるかもしれません。まずは正しい方法を上記のHPなどで確認しましょう。※paqupaはお湯で溶かすとペースト状になるので形状の面では安心です。その反面、量による記載が分かりずらいことや、コスト面でやや難色ですが、初めて試すには良いと思います。

その④妊娠中・授乳中にお母さんが特定の食物を制限をする→× 児のアレルギー発症予防に有効ではないどころか、お母さんの栄養状態が心配です。やめましょう。

その⑤アレルギー発症予防には完全母乳の方が優れている→△ 十分なエビデンスはない。粉ミルク併用したほうが牛乳アレルギーを予防するという論文もありますが、まだ十分とは言えません。母乳で育てたい人、母乳で育てたいけどうまく出ない人、粉ミルクのみで育てている人、すべての方が必死でこどもに授乳しています。みなさんが授乳したからこどもたちは健康に元気に大きくなったのです。

その⑥皮膚のバリア機構が壊れていると食物アレルギーを発症しやすくなる→〇アトピー性皮膚炎と食物アレルギー、しいては喘息、アレルギー性鼻炎は密接に関係しています。肌のよい状態を保つことがアレルゲンの経皮侵入(感作)を防ぎます。

結論

離乳食初期から鶏卵・ピーナッツを摂取することで食物アレルギー発症を予防できる。ただし量・形状については十分注意して始めよう(鶏卵は上記参照。ピーナッツは粉末orペーストにして耳かきひとさじから)食物アレルギーはウワサがいっぱい。聞いた情報・見た情報が正しいかどうかは医療機関で相談しよう。

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