こんにちは。番町麹町こどもクリニックです。
「トイ・ストーリー5」を観てきました。感動しました。エンディング後もしばらく感動で動けなかったほどです。(※あくまでも私個人の意見です)ピクサー社はどうしてここまでこどもの気持ちがわかるのだろう?って思うほど今の子供の状況を理解していて、心に強く訴えかけるものがありました。ネタバレにならないよう一言だけ、ジェシーの言葉がとても印象的でした。
『デバイスが吸血鬼みたいにこどもたちから時間を吸い取っている』
まさにその通りだと思います。スマホ・ダブレット、ネットゲーム(以下デバイス)はこどもたちから時間を吸い取り、さらには視力・体力・コミュニケーション能力・忍耐力それに想像力をも奪っています。吸血鬼のようにみるみる吸い取り、吸い取られた結果は?こどもたちはどうなると思いますか? 今の時代、こどもたちからデバイスを排除する、遠ざけることはできません。だから親が考えましょう。スマホとこどもたちの関係について。私も一人の親として、こどもたちに正しいデバイスとの付き合い方を指導できているか自信はありません。でも親が守らなければ、こどもだけで吸血鬼を追い払うことは難しく、大切なものを吸血鬼に吸い取られ続けるだけなのです。「トイストーリー5」を観て、私自身も深くこの問題について考えてみました。
今年の小児科学会でとても興味深い講演がありました。富山大学の山田正明先生による「こどものネット依存」についてのお話でした。概要は
〇こどものネット依存はお酒やたばこ、ギャンブルと同じ依存症である。依存症は楽しくて飽きないものが対象となりやすいそうです。確かに私も幼いころ初代ファミコンでスーパーマリオブラザーズをやっていました。でも相手は機械のみです。そのうち飽きてきて、永遠にやっていいよと言われても続けることはできませんでした。(私が下手だったのも理由の一つですが)でもいまはオンラインで不特定多数の相手とつながることができ、飽きずに長時間続けることができるシステムのようです。
〇こどものネット依存により、寝る時間が遅くなる→朝起きれなくなる→昼夜逆転する→(自律神経のバランスが崩れる)→学校を欠席する→成績が下がる。さらにはネット依存により現実への興味が減る→注意されるとイライラする→攻撃的なる などの悪循環が訪れます。この悪循環により自律神経のバランスを崩し、起立性調整障害を引き起こす子もとても多いです。
〇ネット依存によりこどもたちは神経が発達しない。社会性や理性をつかさどる脳の一部前頭前野が発達しないため、思考力の低下・コントロールができなくなる・攻撃的になることが分かっています。実際にネット依存の若者による衝動的な暴力(無差別殺人、銃乱射事件など)は増えているのです。
〇こどものネット依存には親の行動が一番影響力がある。山田先生の研究結果ではこどものネット依存との関係の強さは①母親のネット時間が2時間以上、②家庭内のルールがない③父親のネット時間が2時間以上の順でした。つまりこどもの悪い習慣(夜更かしなど)を正すより、親が意識して自分自身のネット時間を減らそうとする行動が一番効果的ということです。
〇さらに面白いことに、日本ではデジタル教科書に向けて動いていますが、先行してデジタル教科書を採用していた北欧では集中力の低下および記憶力の低下から学業成績が落ち、さらに暴力的になったので”return to book”へ動いているとか。デジタル本などは便利ですが、暗記するのも内容が頭に入りやすいのもやはり『紙』なんだそうです。なんとも興味深い結果ですよね。
参考:北日本新聞社『こどもとネット依存』http://www.sugitani.u-toyama.ac.jp/health/healthsupport/pdf/kitanihonn20181211-0122.pdf
ついつい自分もスマホ片手に「勉強は?宿題終わった?」と言ってしまいがちですが、こどもからしたら説得力ゼロです。さらに大人がネット時間を2時間以内に我慢できないのに、こどもがネット時間を我慢できるわけがありません。デバイスはいまやなくてはならないツールです。それを否定することは不可能ですし、私もお世話になっています。でもデバイスでなくてもいいものもあるはずですし、やらなくてもいいけどなんとなくしている習慣もあるはずです。一度私たち親も自分とデバイスとの関係を見つめなおしてみる必要がありそうです。そうすることでしか大切なこどもたちをデバイスから守ることはできないからです。
時が流れても変わらないもの・・それはみなさんにとってなんですか?デバイスを手放す必要はありません。新しいものを柔軟に取り入れていくこともとても大切なことです。でもいつまでも変わらずにいてほしいものもあるはずです。自分もこどもたちもデバイスという吸血鬼にすべてを吸い取られないよう、大切なものを守りながらデバイスと付き合っていく必要があると思います。トイ・ストーリー5を観てわたしはそう思いました。
結論
スマホ・タブレット、ネットゲームがこどもから視力・視力・体力・コミュニケーション能力・忍耐力それに想像力をも奪っています。そんなデバイスからこどもを守るために一番効果的なのは親が意識して自分自身のネット時間を減らそうとする行動です。こどもたちとデバイスの関係について、家族内で話し合ってみましょう。




